妄想限界  

薫×芳人 芳君の悩み13

理由はないけれど・・・・・・。
うん。
友達のような、お父さんのような存在。
寂しいカオちゃんを初めて慰めてくれた人なのかもしれない。
「さあ、金子はそろそろお暇しますよ。」
「えっ!金子さん、泊まって行ってよお。」
もうすっかり遅い時間だし、びっくりして金子さんを見たら、いえいえと首を横に振った。
「芳、ホテル取ったから、心配しないで?・・・・送って来るよ。」
「・・・・そんなぁ。・・・・・だって。こんなに遅くなっちゃったのに。」
僕をそっと退かして、立ち上がった二人を見上げたら、カオちゃんが頭を撫ぜてくれた。
「いいのいいの。・・・・また今度泊まってもらうことにしようよ。・・・・・・今夜は俺、芳のことお仕置きしないといけないから。」
え?
お仕置き?
僕の脳裏に、あられもない格好の僕を、カオちゃんが調教してるのが浮かんで、ぼっ!と赤面した。
「ははは。・・・・待ってて。すぐ帰ってくるね。」
僕にキスしたカオちゃんに捕まって、金子さんを玄関までお見送りした。
思いもかけない出来事が、僕を誤解から解いてくれた。
心に引っかかっていた、金子さんのこと、上手くいってよかった。
僕の周りの優しい人たちを、自分の勝手な気持ちで苦しめるようなことを続けなくて済んだ。
それが、僕にとってはすごく嬉しいよ・・・・・。


「辛かった?・・・・・でも、謝らないよ?」
ベッドで僕を覗き込んで、カオちゃんが言った。
汗が滴るカオちゃんはいつも思うけれど、とてもセクシーで男らしくて、どきん、てときめいた。
「・・・・・んっ。・・・・・死んじゃうかと思った。」
今日はすごい言葉攻めで、すっごく興奮しちゃった僕を、後ろから激しく愛してくれて・・・・。
そのままベッドに倒れこんだ僕の背中にキスしているの。
「バック、好きなんだ。」
チュ、って首筋を吸って。
胸に手を這わせるカオちゃん。
「やだぁ・・・・・。そんなこと聞いちゃいけないよぉ。」
「だめなの?・・・・・でも、今日はうんと感じてた。俺もね。」
「カオちゃあん・・・・・。あ・・・・・・。」
指の間に乳首をはさんで、こりこりって。
「愛してる。・・・・・・・かわいい・・・・・。」
僕の背中を抱きしめたままで、カオちゃんは眠りに落ちて行った。
僕もカオちゃんのぬくもりと匂いにつつまれて・・・・・・。
幸せな気持ちで目を閉じた・・・・・・。

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

薫×芳人 芳君の悩み12

「・・・・・・そんな。」
そんなことない。
僕だって、醜い気持ちになることだってあるし、誰かを嫌いだ、って思うこともある。
綺麗な心でいたいけれど、大人になってしまったら、それはすごく難しいことだと知った。
「・・・・・ねえ、芳。・・・・俺は、芳に今日みたいな思いをして欲しくないんだ。気分が悪くなるほど怖い思いを、もう二度と思い出して欲しくない。・・・・・わかってくれる?」
カオちゃんの目がとても優しくて。
うなずいた。
僕を守ってくれるただ一人のカオちゃん。
カオちゃんが、どんなに僕を気を使ってくれているのか知ってるから。
「・・・・・・・でもね、お仕事を辞めたり、勤務時間を減らすことはできないの。・・・・・僕がね、生まれて初めて頑張りたい、って思ったお仕事なの、カオちゃん。」
僕を包む大きな手を、ぎゅって握り締めた。
カオちゃんはちょっとびっくりしたみたいだったけど、優しく笑った。
「そう。・・・・・それじゃ大切にしないとね。仕事も。・・・・芳自身も。」
カオちゃんが優しく僕に教えてくれたことはたくさんあるのだけど・・・・。
「・・・・・・うん。」
「・・・・・・ちょっとだけ俺のためにもね。」
「・・・・・・馬鹿ぁ。」
僕が僕を大切にしなければ、何もかもが壊れてしまう。
僕の大事にしているこの暮らしが全部、なくなってしまうかもしれない。
カオちゃんは、きっと何よりもそれを言いたくて・・・・・・・。
僕のために、僕のことを。
泣いちゃいそうで、カオちゃんにぎゅうってしがみついた。
「カオちゃんが一番大事だよぉ・・・・・・。カオちゃん。だいすき、だいすきっ。」
カオちゃんがいなかったら、今の僕はいなかったの。
だから、カオちゃんが僕のすべてなの。
「ははっ。・・・・・嬉しい。・・・・・・ほんと、かわいいね。」
カオちゃんにしがみつく僕の髪を、カオちゃんは優しくなぜてくれて、何度も額にキスしてくれた。
「・・・・危ない目に遭わない方法を、一緒に考えよ?・・・・・芳がいつも幸せでいれるように、俺、どんなことだって協力するよ?」
「・・・・・・・うんっ。・・・・・・・カオちゃん・・・・・。」
「ん?」
カオちゃんの胸から顔をあげて、キスした。
「ありがとお。・・・・・・ほんとにだぁいすきっ!」
ぎゅって首に抱きついて、カオちゃんのそばにいれる幸せをかみ締めた。
幸せな僕の耳に、カオちゃんの声が聞こえて・・・・・。
「ね、すげえかわいいだろ?・・・・・俺ね、夢中になっちゃう。」
って言ってるのが聞こえて。
かあ・・・って赤くなった。
そういえば、金子さんがいたんだった!
恥ずかしい!人前なのに!
そしたら、金子さんは笑いながら言った。
「今にも馬にけられそうでございますよ。・・・・・・でもまあ、恋愛はどんな場合も同じということでしょうか。」
「何だよ、それ。・・・・金子はどんな恋愛してたんだよ?」
「私はいたって奥手でしたので、手が触れただけでも犯罪を犯しているような、そんな気分でございました。」
「わはは!・・・・・ださいな。」
「若かったのですよ。」
楽しそうな二人の会話を聞くともなしに聞きながら・・・・・。
やっぱりカオちゃんには金子さんが必要なんだな、って思ったの。

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薫×芳人 芳君の悩み11

カオちゃんがもって来てくれたお水を一口飲んだら、それを待っていたかのようにカオちゃんが言った。
「ねえ、芳。」
「ん?」
金子さんとカオちゃんを交互に見ていた僕に気づいて、カオちゃんは金子さんの隣に座りなおして、僕をまっすぐに見て・・・・・。
「・・・・仕事、パートタイマーとかにできないの?」
って言った。
「・・・え?」
パートタイマー?
びっくりして、カオちゃんを見つめたら、深呼吸してカオちゃんがなおも言った。
「これ以上、芳に何かあっても、俺はすぐに助けてやれない。・・・・・本とは仕事を辞めて、って言いたいけれど、それは俺のエゴだから、せめて勤務が早く終われば、って思って。」
僕のお仕事・・・・?
確かに僕の勤務時間は色々で・・・・・。
場合によっては早朝から深夜までで・・・・・。
「でもっ、僕、男だし!・・・こんなことそうそうないよお。」
常々自分で思っていることを、口にしたら、カオちゃんははあ・・・ってため息をついた。
「あのね。それは芳が俺くらいの体格になってから言って。確かに芳は男なんだけど、芳が思うほど、世間は芳を男性としてみてないよ。」
「・・・そんなあ!」
カオちゃんに言われたことが、ちょっとショックで。
カオちゃんの方に身を乗り出したら、金子さんが僕のことを抑えた。
「・・・・・これってさ、すごく危ないことなんだよ?現に芳は、今でもしょっちゅうナンパされてるでしょ?・・・・芳の中性的な魅力は、男も女もひきつけるよ?普通の女が感じる危険の2倍なんだよ?わかってる?」
「・・・でもお・・・・・・。」
僕にとっては、僕をナンパする人なんて本当に物好きだとしか思えない。
それに実際は女性から声をかけられたことは一度もないし・・・・・。
確かに今日、僕は怖い思いをしたけれど、それは昔のことを思い出してしまったから。
「・・・・・僕、外出できなくなっちゃうよぅ。」
僕にこういうことが起こったときに、カオちゃんが言うであろう言葉通りのことを言われて、つい口から漏れた。
そんなに過保護に守ってもらわなくても、僕は大人で男なんだから。
それに以前と違って、僕はもう僕の意思で自分を守れる。
カオちゃんは大きくため息をつくと、どさっとソファの背もたれにもたれた。
僕の隣で金子さんとカオちゃんが小声で何か話してる。
仮に、カオちゃんの言うように、僕にとって夜の外出がすごく危険なものであるとしても、今のお仕事を辞めるわけにはいかない。
正直、パートになることだって無理なの。
今、産婦人科医はすごい人手不足で、大神先生のところだって患者さんは果てしなく多くて。
3人でまわしてやっと今の状態を保てているの。
僕が抜けたら、どうなるかくらい、僕にもわかってる。
「芳。」
カオちゃんの声がして、顔をあげたら、おいで、って手招きされた。
立ち上がって、ソファをぐるっと回ってカオちゃんのところへ行った僕を、カオちゃんはゆっくり膝に乗せてくれて。
僕の体や髪をなぜながら、僕を優しく見つめた。
「・・・・・・芳が綺麗で、いつも俺がヤキモキしてるのは分かってくれる?」
「・・・・・僕?」
綺麗?
それって、カオちゃんだけが感じてくれていることじゃなくて?
カオちゃん以外の誰からも言われたことがないから、ぴんとこない・・・・・。
カオちゃんは片手を伸ばして僕の頬を包むと、親指で唇を辿った。
「・・・・どうしてこんなに綺麗なままなの?・・・・であった時から一つも変わってない。・・・・・・純粋で素直で、どうしてそんな風にいられるの?」

テーマ : 自作BL小説
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薫×芳人 芳君の悩み10

こんにちわ!すこです!

最近はばたばたしていて、更新が滞ってしまってすみませんでした。

今後もまだ多忙な感じですので、毎日は更新できないかもしれませんが、

絶対に続きを掲載しますので、覗きにきて見てくださいね!

カオちゃんと芳君もうずうずしてると思います・・・・(笑)。

それでは今後も妄想限界を、カオちゃんを芳君を、よろしくお願いします!

では、本日の更新です!


↓↓↓↓↓↓↓↓


カオちゃんに下ろされた階段の下から動いたら、ソファに座っている金子さんに気づいた。
「金子さん!」
「ご気分はいかがでございますか?」
小さい目をにっこりさせて僕を見ている金子さんは、まだきちんとしたスーツ姿。
「うんっ・・・。もう平気。・・・・・金子さん、ありがとう。・・・・僕のこと・・・・・。」
助けてくれて。
金子さんのところへ駆け寄って、隣に座った。
そしたら、金子さんのかさかさの暖かい手が、僕の手を握った。
「藤井さんも、社長同様、私にとってはかわいい息子なのですよ。・・・・偶然でしたけれど、金子があそこを通って本当によかった。」
「・・・・金子さぁん・・・・・。」
金子さんが・・・・・。
僕のことを・・・・・・。
何だか、今までの僕の中のわだかまりをすごく切なく思った。
僕はこんな風に金子さんに思ってもらっていることを、一つも知らずに冷たい態度をとって・・・・・。
でも・・・・・。
とても嬉しくて・・・・・。
「ありがとぉ・・・・・。」
涙がこぼれて止まらなくなった。
僕はなんて愚かだったんだろう。
僕のことを、こんな風に思っていてくれている人のことを、きちんと受け止めていなかったの。
自分だけの気持ちで、冷たく当たって・・・・・・。
「もうお泣きなさるな。・・・・社長が心配されますぞ。」
「・・・うんっ。・・・・・んっ。」
涙をぬぐって、深呼吸して、顔をあげた。
そしたら、金子さんがハンカチで顔を拭いてくれて・・・・・。
くしゃくしゃだけれど、ふんわりと石鹸の香りがした。
「・・・・ありがとう。・・・泣き虫でごめんなさい。・・・・僕・・・・・。馬鹿で・・・・。」
金子さんを見つめたら、くすって笑って言った。
「他人の気持ちを簡単には理解することはできませぬ。・・・・藤井さんはそれでよいのですよ。・・・・金子は勝手に藤井さんのお世話をしていただけでございます。」
最後は冗談交じりの口調で、くす、って僕も笑えた。
「・・・・・ありがとお。・・・本当に。」
嬉しくってたまんなくて、でも、この気持ちを上手に表現することができなくて。
チュ、って金子さんの頬にキスした。
驚いた金子さんと、くす、って笑い合ったら、カオちゃんがグラスにお水を入れて持って来てくれた。
「あ、ありがとう、カオちゃん。」
僕の横に座ったカオちゃんは、僕を見てちょっと笑うと、いきなりキスして・・・・。
え?
って思う間もないくらいすばやく唇が触れて、すばやく離れた。
「・・・・・あ、カオちゃん?」
カオちゃんは、照れくさそうにでも、拗ねていて、僕を抱きしめた。
「芳は俺のなの。・・・・・たとえ金子にだってキスは許せない。」
「・・・あ・・あはっ。・・・・ほっぺただよお、カオちゃん。」
「じゃ俺にもしてよ。」
「・・・もおっ。」
かわいいヤキモチがくすぐったくて、チュってほっぺにキスして。
耳の後ろからカオちゃんのコロンが優しく香った。

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薫×芳人 芳君の悩み9

「・・・ありがとう。・・・も、平気だよ?」
鼻をかんで、金子さんから離れた。
「お送りしますよ。・・・・・何かお食べになりますか?」
「ううん。・・・・いいの。・・・ありがとう。一人で帰れるよ。」
眼鏡の奥の小さい瞳が、僕をまっすぐに見つめる。
これ以上は甘えられない。
僕は金子さんにすごく冷たい態度をとってきたのだから。
「・・・・また怖い目に遭ったらどうなさるのです?・・・・いけません。」
「・・・大丈夫。・・・僕も男だよ?」
「わかっておりますよ!・・・・・それでも現にああして・・・・・。ああいう風な輩はいくらでもおります。危険です。」
金子さんのいう事はよくわかるのだけれど・・・・・。
でも・・・・・・。
どうしたらいいかわからなくて躊躇していたら、運転席から声がした。
「お送りしますよ?・・・どこら辺ですか?」
聞いたことない声にびっくりして、金子さんを見た。
金子さんはちょっと笑った。
「総務課の井上でございます。」
「どうも始めまして。」
運転席からにょきっと伸びてきた手。
それを握り返した。
「あの・・・・お家はここからとても遠くて。だからいいの。」
「それなら我々も社に帰るところですから。・・・通り道でございますよ。ご遠慮なく。」
金子さんは言って、車を出すように言った。
何だかとても申し訳なかったのだけど・・・・・。
正直言うとすごく疲れていたから、助かった・・・・・・・。
「ありがと、金子さん・・・・・。」
車の振動に揺られていたら、すごく眠くなっちゃって、そのまま眠ってしまった。
カオちゃんに連絡しとかなきゃ、って思ってたのに・・・・・。


目が覚めた時、ほのかな明かりのついた自分の家の寝室にいて、びっくりした。
服を脱がしてもらっていたから、ガウンを羽織って、ベッドを降りて、下へ行こう、って思った。
お風呂も入りたかったし、お水が飲みたくて。
それに、カオちゃん・・・・・。
今日の僕に起こったことを、知ってるのかな、って不安で。
知らないままならそれでいいけれど、もし何か悟っているんだったら、説明したかったの。
カオちゃんには、もう絶対に隠し事をしたくなかった。
カオちゃんに心配かけるようなことをすべて、わざわざ言う必要はないけれど、こういう場合は別なの。
寝室のドアを開けて、下へ行こうと階段を半分くらい降りたら、下から話し声が聞こえてきた。
「・・・・カオちゃん?」
電話中?
「芳?起きたの?」
そんな声がして、階段の一番下にカオちゃんが現れた。
リラックスウェア姿のカオちゃんは僕に手を伸ばすと、抱っこしてくれて。
ゆっくり下ろしてくれると、僕を強く抱きしめた。
僕の頭に頬ずって、ぎゅう・・・って、苦しいくらい。
しばらくそうしていて、ゆっくり僕を離すと、カオちゃんは僕の頬をなぜながら言った。
「何か食べる?・・・・・飲み物は?」
「あ・・・・お水が欲しくって・・・・。」
「そっか。・・・・もう気分はいいの?」
「・・・・・うん。・・・・・びっくりしただけ。」
カオちゃんは僕にあいまいに微笑むと、僕の手を引いた。

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