妄想限界  薫×芳人50
オリジナルBL小説でございます。 同性愛の内容全開です。 不快になられる方はご覧にならないようお願いいたします。
妄想限界 
薫×芳人50
2007-11-18-Sun  CATEGORY: 長編
「・・・いや。」
窓に両手をついて、外を見ながら、僕はたんたんと話した。
こんなに簡単に言葉が口をつくなんて、思いもしなかったよ・・・・・。
「僕の両親は・・・・もういないんだ。・・・・・死んだんだ。」
両親の顔を思ったら、こみ上げてきて、思わず咳き込んだ。
「芳人!」
「・・・平気。・・・・・・父親と母親は・・・・・兄弟だったんだ・・・・・・。」
カオちゃんを見れない。
でも、無言の返答で、カオちゃんの気持ちが少しだけど、伝わってきた。
「二人は、それぞれ結婚して・・・・・・・。なのに、気持ちが抑えられなくて・・・・・・。僕が生まれちゃったんだ・・・・・。周りの人が僕を見る目が、怖かった。兄弟の間の子っていううわさは、あちこちに飛んでいって、僕はいつも一人ぽっちだったんだ。
・・・・そのうわさは・・・・・。僕の両親にも届いて・・・・・・。
お互いの結婚生活は壊れたんだ。」
はあ・・・って息をついだ。
心を渦巻く、黒いもの。
それが、流れ出していく感触が、不気味・・・・・・。
「お互いしかなくなった父と母は、僕を旅行に連れて行ってくれた。・・・・・僕はまだ小さくて、楽しかった気持ちをすごく覚えてる。
なのに。
夜になったとき・・・・・。父と母は、僕を近くの海辺へ連れ出した。
真っ暗な海は、ちょっと不気味で、僕は母にしがみついていたんだ。
その僕を、母は急に突き飛ばした。僕の足に、砂が絡みついて動けなくなって・・・・・。
顔を上げたら、父と母が怖い顔で、僕の首に手をかけたんだ・・・・・・・。」
目を閉じたら、涙が溢れた。
「僕はそれ以上は覚えていないけど・・・・・。父と母はその後で、死んじゃったよ。
・・・その時のことが・・・・僕には・・・・まるで昨日のことみたいに焼きついていて・・・・。
だって。
僕の顔は父と母にそっくりで・・・・・。
忘れようとしても、忘れられなくて。
僕は・・・・・。決めたんだ。
父と母を尊敬なんてできない。だから、絶対に父と母のような最期には、自分はならないって。
僕はゲイだから、一生結婚はしない、死ぬまで一人でいるって。」
なのに・・・・・。
僕は・・・・・・。
こんなにカオちゃんを・・・・・・。
「両親が死んだ後、僕は施設に入って、そこで高校まで育ててもらったよ。
幸運なことに、僕は近親相姦で起こり得る障害がなかったから、医者を目指したんだ。
この仕事なら、一生食べていけるって。」
頬を伝っては落ちる涙。
僕が、僕の事実を誰かに打ち明ける日がくるなんて、考えもしなかった。
足の裏から、じゅうたんの柔らかい毛の感触が伝わってくる。
冷たいガラスは、僕の手のひらの温度を吸い込んで、暖かくなっていた。
「・・・ごめんね、カオちゃん・・・・・。ごめんね・・・・・・。」
カオちゃん、今何を思ってる・・・・?
やっぱり、僕のことを軽蔑してるの?
手を握り締めて、悲しみをこらえた。
「・・・・・芳人が謝ることじゃない。」
カオちゃんの声がして、ベッドのきしむ音。
そして・・・・・。
僕の腰を、カオちゃんが抱きしめた。
「オレは、軽率なことをしたな。・・・・・悪かった。」
それが、僕とつきあったことに対する言葉かと思って、余計に悲しくなった。
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