妄想限界  薫×芳人 続編18
オリジナルBL小説でございます。 同性愛の内容全開です。 不快になられる方はご覧にならないようお願いいたします。
妄想限界 
薫×芳人 続編18
2008-03-14-Fri  CATEGORY: 長編
「先生。藤井先生!藤井先生!?」
甲高い声がして、我に返った。
大学の部屋。
目の前には山盛りの書類。
「先生、居眠りですか?」
声が聞こえて、見上げたら、僕の隣に事務員さんが立っていた。
「・・・ごめんなさい。・・・・どうかしました?」
事務員さんはむかむかしているらしく、乱暴に僕に書類をよこして、
「これを一番に、今すぐ見てください。今日中に私に返してもらえますか!」
って叫ぶように言って、部屋を出て行った。
大きな音を立てて閉まるドア。
無意識にため息が漏れる。
事務員さんが持ってきたお仕事をしながら、全然頭に入ってこない内容を、なんとか読み進めていって、やっとのことで終わらせた。
もうヤダ・・・・・・。
机に肘をついて、頭を支えた。
あれから・・・・・。
カオちゃんとはすれ違い。
僕が眠ってからカオちゃんは帰ってきて、僕が起きる前に、もういなかったり。僕が先だったり。
当然のように噛み合わない生活だった。
どんなに僕らが意識して、二人の時間を作っていたのか、わかったの。
でも・・・・・。
どれほど離れていても、心が通じ合ってるのとそうでないのとでは違う。
カオちゃんのことを思うと、胸がじくじくと痛い。
怒らせちゃったのは、僕なのに、謝ることすらできていなかった。
謝っても、それって上辺だけになっちゃう気がしていた。
僕が、カオちゃんの過去にヤキモチを焼くのは当たり前のことで・・・・・。
ずっとずっと抑えてきたことで・・・・・。
でも、カオちゃんの本気の部分が見えちゃったときから、僕の枷は外れたの。
ただの遊びなら、僕だって腐るほどしてきた。
誰かとのお付き合いもしたけれど、本気になんてなれないでいた。
そういうお付き合いと、本気のお付き合いでは、温度が違う。
笑って済ませられない何かがあるの。
それを心の奥に抱えたまま、カオちゃんに謝るなんてとてもできなかった。
だけど・・・・・・。
会いたい。
声が聞きたい。
カオちゃんのことで頭が一杯で、何も手につかないよ・・・・。
思わず電話しそうになっちゃう手を、どうにか止めて・・・・・・。
目に飛び込む薬指の指輪に、寂しくて・・・・・。
将来を誓ったの。僕は、カオちゃんと一緒に生きていくことを選んだ。
なのに。
つまらないこの気持ちが、すべてを壊そうとしていて・・・・・・。
それでも、何もできない自分が情けない。
どうしたらいい・・・・・?
涙がこぼれそうで、ぐっと堪えた。
静かな部屋は、時計の針の音しかしなくて、僕の孤独をしみじみと感じさせる。
カオちゃんは傷ついたかな・・・・・。
あんな風に怒るカオちゃんを、僕は初めて見たかもしれない。
この状態になったことも、今が初めて。
だって、カオちゃんはいつも僕を探して会いに来てくれたの。
僕は待ってるだけだった。
ただ、待ってるだけ・・・・・・。
改めて何もできない自分を恨んだ。
悲しいよ。
カオちゃんに会いたいよ・・・・・・。

溜まっていくお仕事を、残業で消化させて・・・・・・。
ようやくすべての仕事を終えて時計を見たら、もう夜の11時近かった。
身体がとても疲れていて・・・・・。
だのに、お家に帰るのがイヤで・・・・・・。
誰もいないの。
一人であの家にいるのは寂しすぎて、イヤなの。
いっそここに止まっていこうかな・・・・・。カオちゃんもその方がいいかもしれないよね・・・・。
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