息を切らしながら家に着いた。
靴を脱いで家に入った途端、カオちゃんが居間に続くドアから飛び出してきた。
「芳!」
「カオちゃ!ごめんなさい!遅くなっちゃって!」
カオちゃんは僕をほっとしたように見ると、僕のこと、強くだきしめた。
「何やってんだよ。・・・・・心配した。」
「・・・うん・・・・・・。ごめんなさい・・・・。」
カオちゃんの胸。
広くて暖かい胸に、ぎゅってしがみついた。
カオちゃんが僕の髪に顔をうずめて、はあ、って安心したようなため息。
「何もなかったんだったらよかった。」
その言葉に、また医局長の話を思い出して。
ちょっと沈んだ。
カオちゃんに話さなきゃいけない。
でも・・・言いにくい。とっても。
だけど、内緒にしておけるようなことでもないの。
勤務時間が大幅に変わっちゃうこともあるし、カオちゃんには絶対に言わないといけないことなのに。
「・・・・・芳人。」
「ん・・・・。」
顔をあげるとすぐに重なる唇。
暖かいぬくもりに、いつもと違って、不安な気持ちが何だか倍増した。
「行ってくる。・・・・・・しっかり休めよ?」
「・・・・・うん・・・・あ、ごめんなさい、カオちゃん。」
心配かけて。
カオちゃんを見つめたら、くすって照れくさそうに笑った。
「いいんだ。・・・・・愛してる。」
「・・・僕も。」
もう一度キスをして、カオちゃんはお仕事に出かけていった。
後姿が切なくて・・・・・。
これからどれだけこんな風にすれ違っちゃうんだろう、って思ったら、また寂しくなった。
いつも僕のそばにいてくれたカオちゃんとの、幸せな時間が減っちゃう。
そのことがこんなに僕を悲しくさせる・・・・・・。
ずっとカオちゃんには言えないまま、どんどん時間は経っていって、僕は助手に就任した。
大学の2階に与えられた個室。
殺風景な白い壁と、スチールの机に、すかすかの本棚。
机の上にはやらなきゃいけない仕事がもう山積みになっていた。
事務員さんに鍵のこととか、パソコンのアクセスキーとか聞いて、僕は机についていたキャスターつきの椅子に力なく座り込んだ。
ふうってため息。
今日は遅くならないと思うから、今日こそは伝えなきゃいけない。
カオちゃんに。
カオちゃん。どう思うかな・・・・。
僕のこと。きっと怒るよね・・・・。
大事な話をこんなにも隠していて・・・・。
ひょっとしたら、何か気づいてるかもしれない。でも・・・・・・。
ああ・・・・・。
またため息が漏れて、頭を横に振った。
とにかく・・・・・。
お仕事を終わらせなきゃ、帰れない。
ERの勤務とは違って、こっちは引継ぎがないんだもの。
思って、机の上の書類を一つ一つ見て、あちこちに電話をして、半分くらい処理した。
そしたら、ポケベルが鳴って急患。
慌てて、部屋に鍵をかけて、ERへと走った。
大学から病院までは長い渡り廊下が続いていて、そこを全力で走った。
ERについたころは、すっかり息が切れちゃってて、足も痛くて・・・・・・。
僕の身体、持つかなあ・・・・・。ほんとに。
すっごく不安を感じちゃう。
急患と、診察室に並んでいた患者さんの治療を済ませて、お昼だというのに食欲のない身体に鞭打って、大学へ戻ってきた。
そしたら、それを待っていたように、事務局とか先生から電話がかかってきて。
お仕事がエンドレス〜・・・・・・。
はあ。
一度こうなったからには、もうやめることなんかできないし、仕方なく非常食のカロリーメイトをかばんから出して、齧って仕事を続けたんだった・・・・。
靴を脱いで家に入った途端、カオちゃんが居間に続くドアから飛び出してきた。
「芳!」
「カオちゃ!ごめんなさい!遅くなっちゃって!」
カオちゃんは僕をほっとしたように見ると、僕のこと、強くだきしめた。
「何やってんだよ。・・・・・心配した。」
「・・・うん・・・・・・。ごめんなさい・・・・。」
カオちゃんの胸。
広くて暖かい胸に、ぎゅってしがみついた。
カオちゃんが僕の髪に顔をうずめて、はあ、って安心したようなため息。
「何もなかったんだったらよかった。」
その言葉に、また医局長の話を思い出して。
ちょっと沈んだ。
カオちゃんに話さなきゃいけない。
でも・・・言いにくい。とっても。
だけど、内緒にしておけるようなことでもないの。
勤務時間が大幅に変わっちゃうこともあるし、カオちゃんには絶対に言わないといけないことなのに。
「・・・・・芳人。」
「ん・・・・。」
顔をあげるとすぐに重なる唇。
暖かいぬくもりに、いつもと違って、不安な気持ちが何だか倍増した。
「行ってくる。・・・・・・しっかり休めよ?」
「・・・・・うん・・・・あ、ごめんなさい、カオちゃん。」
心配かけて。
カオちゃんを見つめたら、くすって照れくさそうに笑った。
「いいんだ。・・・・・愛してる。」
「・・・僕も。」
もう一度キスをして、カオちゃんはお仕事に出かけていった。
後姿が切なくて・・・・・。
これからどれだけこんな風にすれ違っちゃうんだろう、って思ったら、また寂しくなった。
いつも僕のそばにいてくれたカオちゃんとの、幸せな時間が減っちゃう。
そのことがこんなに僕を悲しくさせる・・・・・・。
ずっとカオちゃんには言えないまま、どんどん時間は経っていって、僕は助手に就任した。
大学の2階に与えられた個室。
殺風景な白い壁と、スチールの机に、すかすかの本棚。
机の上にはやらなきゃいけない仕事がもう山積みになっていた。
事務員さんに鍵のこととか、パソコンのアクセスキーとか聞いて、僕は机についていたキャスターつきの椅子に力なく座り込んだ。
ふうってため息。
今日は遅くならないと思うから、今日こそは伝えなきゃいけない。
カオちゃんに。
カオちゃん。どう思うかな・・・・。
僕のこと。きっと怒るよね・・・・。
大事な話をこんなにも隠していて・・・・。
ひょっとしたら、何か気づいてるかもしれない。でも・・・・・・。
ああ・・・・・。
またため息が漏れて、頭を横に振った。
とにかく・・・・・。
お仕事を終わらせなきゃ、帰れない。
ERの勤務とは違って、こっちは引継ぎがないんだもの。
思って、机の上の書類を一つ一つ見て、あちこちに電話をして、半分くらい処理した。
そしたら、ポケベルが鳴って急患。
慌てて、部屋に鍵をかけて、ERへと走った。
大学から病院までは長い渡り廊下が続いていて、そこを全力で走った。
ERについたころは、すっかり息が切れちゃってて、足も痛くて・・・・・・。
僕の身体、持つかなあ・・・・・。ほんとに。
すっごく不安を感じちゃう。
急患と、診察室に並んでいた患者さんの治療を済ませて、お昼だというのに食欲のない身体に鞭打って、大学へ戻ってきた。
そしたら、それを待っていたように、事務局とか先生から電話がかかってきて。
お仕事がエンドレス〜・・・・・・。
はあ。
一度こうなったからには、もうやめることなんかできないし、仕方なく非常食のカロリーメイトをかばんから出して、齧って仕事を続けたんだった・・・・。
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