妄想限界  20080702
オリジナルBL小説でございます。 同性愛の内容全開です。 不快になられる方はご覧にならないようお願いいたします。
妄想限界 
薫×芳人 出会い3
2008-07-02-Wed  CATEGORY: 中篇
そんな俺をじっと見ていたらしい、俺の思い人は、くすって噴出すと、そのままくすくすって笑った。
その笑顔は、胸に描いていた通りの、愛らしさで、一気に俺を魅了した。
思わず抱きしめたいほどの衝撃に狩られる。
「・・・・・いいですよ。・・・・・携帯しかないんだけど。いいですか?」
まだくすくす笑いながら、俺を見る。
あー、絶対怪しいやつと思われてるな・・・俺。
「・・・・あ、はい。・・・お願いします。あ、えと、失礼ですけど、お名前は・・・?」
携帯電話を俺の手から取って、操作しているのを見ながらたずねた。
この人の、一挙一動を、見逃したくない。
「え?あ。・・・・僕、藤井芳人です。・・・・・・でも、どうして、僕・・・・?」
藤井芳人・・・・・。
はい、って携帯を俺に見せてくれながら、また少し訝しげに俺を見る。
まさか、密かに片思いしてました、なんて言えなくて、ちょっと口ごもったら、思い人は言った。
「・・・・怪しいお仕事の人?」
「あ、違いますよ!それは絶対にないです!・・・・あの、そう!友達!友達になってほしくて!」
自分が興奮と動揺で一杯で、ふと我に返ったら、俺の声がホーム中に響いていた。
すでに電車は駅を離れていて、乗り降りのための客ももうすでにいなくて。
ホームには俺と思い人の2人きりで・・・・・・。
「うふっ。・・・・・お友達?・・・・・・あはっ。・・・・・うふふっ。」
恥ずかしい・・・・・。
俺、今、超ダサい・・・・・・。
思い人は、ひたすら笑うと、目にたまった涙をぬぐって俺を見た。
「・・・・・面白いね。・・・・こんな僕でよかったら、うん。・・・・・よろしくお願いしまう。」
って、ペコって頭を下げて・・・・・。
その瞬間、ふわりと、いいにおいがした。
「あ、こちらこそ・・・・・・。すいません、何か色々と、変なヤツで。」
「・・・・ううん。・・・・・イキナリで少しびっくりしちゃった。」
「・・・・・・すみません。」
渡された携帯電話から、自分の携帯にナンバーを登録して、改札まで並んで歩いた。
夢のようなシチュエーション。
まさか、こんなふうに再会できるなんて。
「あ、でも、僕、勤務がばらばらだから、電話もらっても出れないかもしれない。・・・ごめんね?」
申し訳なさそうに言うから、どきってする。
表情がとても豊かなんだ。
「あ、いえ。・・・お仕事って何されてるんですか?」
「・・・・・あ、僕、病院で・・・・。」
「医者?」
「・・・・一応だけど・・・・・。」
ゆっくりと、もどかしく話す様子も、この人には似合っていて、とても愛らしい。
隣を歩く姿を見ているだけで、やっぱり俺はこの人のことが好きなんだって、改めて思った。
「・・・・すごい。・・・・・・あ、引き止めてすみません。」
「ううん。平気。・・・・・カオちゃんは?大丈夫?」
「・・・カオちゃん?」
イキナリそう言われて、どきって。
「あ、ダメ・・・・だよね、ごめんなさい。」
少し、しゅん、ってなった感じに、慌てて答えた。
「あ、いえ、平気ですから。はい。」
「・・・ふふっ。僕のことも、芳人って呼んでね?・・・じゃ、これで。また。」
改札を通って、俺とは反対方向へ出て行く思い人の背中を、俺はずっと見ていた。
どきどきが止まらない。
嘘みたいな奇跡に、その場でガッツポーズした。
そんな俺を見た駅員が、びくってした。
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