俺は今、貞操の危機にあると言っていいだろう。
俺を好きでたまらないらしい男に、キスを許してる。
しかも本庄の部屋でだ。
俺の28年の人生。
この俺がよもや男に走ろうとは思ってもいなかったことで、今でも信じられない気持ちだ。
濡れた唇を離して、俺をいとおしそうに見る本庄。
・・・・・俺も大概終わってる。
こんな初恋みたいな恋がうれしいなんて。
俺を押し倒そうと目論んでるらしい本庄から、身体を離した。
「じゃ、俺帰るわ。」
「・・・・そろそろ泊まってけば?」
そんな軽口に、少しどきっとしたけど、思わず平静を装って立ち上がった。
「ばーか。だいたいお前、覚悟はできたのかよ。」
俺は一言も抱かれてやるなんて言ってない。
だけど、こいつを抱けるかと言われても、素直にうんとは言えない。
俺は男は初めてなんだ。
やり方も知らないし、第一、ケツなんかにほんとに入るのかよ。
「俺はいつでもいいよ。お前が抱いてくれるんなら、喜んで抱かれてやる。」
まじめな口調に、どきん、とする。
「・・・あ、ああ。・・・・・覚えとく。じゃな。」
「ああ。鍵掛けてってくれ。」
「・・・・ああ。」
後ろ手に手を振って、俺は本庄の部屋を後にした。
外に出ると同時に冷たい夜風が俺の周りにまとわりつく。
エレベーターに向かって歩きながら、何となく本庄の暖かい手を思い出したりしていた。
好き・・なんだろうな、きっと。
本庄に好きなんだと言われたとき、俺はショックでうまく答えられなかった。
思ってもいなかったことをぶちまけて、本庄を傷つけてしまったんだ。
それまで、本庄は俺の親友で、プライベートでも仕事でもなくてはならない存在だったから。
それ以来、本庄とはぎくしゃくして・・・・・。
なんとなく気まずい時間が続いて・・・・・・。
本庄とこんなことで壊れるのはイヤだった。
だけど、もし恋人同士になったとして、どうなる?
絶対に元には戻れない。
毎日本庄とのことを考え続けて、上の空な時間が増えていた。
その時俺には婚約者がいたんだが、何をしていても上の空な俺を見て、てっきり俺が浮気をしていると思ったらしい。
あっさり婚約を破棄され、親からもさんざん愚痴られ、ついでに言うと、結構金も使って。
俺の中には本庄しかいなくなった。
そして・・・俺の気持ちを決定付けたのは、薫だった。
仕事中、俺は営業課から総務へ戻る途中だった。
総務と社長室は同じ階にある。
最上階の、通路。
薫がこちらに背を向けて、電話をしていた。
どうやら相手は、いとしの藤井さんらしい。
表情が、いつもの薫からは想像もできないほど、優しい顔をしていた。
それが、本庄の俺を見る顔と同じで・・・・・。
俺は薫の真剣さを知っていた。
薫は多分、藤井さんのためだったら、どんなことでもやってのけるだろう。
それほどの気持ちが、本庄の中にもあって、俺を向いているのだと。
俺は真剣に考えた。
俺は、本庄の気持ちがうれしくて・・・・・。
もっと近づきたくて・・・・・。
だけど、どこか小心者の俺は、本庄に面と向かってそれがいえなかった。
携帯のメールを送信して知らせた。
文章を打つのに、1時間も費やして。
本庄からの返事はなく、代わりに、あいつ・・・・。
俺の部屋まで来たんだった。
もう日付も変わっていて、明日も仕事だっていう日に。
ドアを開けるなり、キスされた。
驚く俺を強い力で抱きしめて、繰り返されるキス。
少しもイヤじゃないことに驚いて・・・・・・。
俺を待っていてくれた本庄に愛しさを感じた。
それから。
俺たちの付き合いは始まったんだった。
セックスのことになると、なんとなく気後れしてしまってる俺を、本庄はまた待っていてくれる。
それに甘えてるわけじゃないけど、許せよな。
俺を好きでたまらないらしい男に、キスを許してる。
しかも本庄の部屋でだ。
俺の28年の人生。
この俺がよもや男に走ろうとは思ってもいなかったことで、今でも信じられない気持ちだ。
濡れた唇を離して、俺をいとおしそうに見る本庄。
・・・・・俺も大概終わってる。
こんな初恋みたいな恋がうれしいなんて。
俺を押し倒そうと目論んでるらしい本庄から、身体を離した。
「じゃ、俺帰るわ。」
「・・・・そろそろ泊まってけば?」
そんな軽口に、少しどきっとしたけど、思わず平静を装って立ち上がった。
「ばーか。だいたいお前、覚悟はできたのかよ。」
俺は一言も抱かれてやるなんて言ってない。
だけど、こいつを抱けるかと言われても、素直にうんとは言えない。
俺は男は初めてなんだ。
やり方も知らないし、第一、ケツなんかにほんとに入るのかよ。
「俺はいつでもいいよ。お前が抱いてくれるんなら、喜んで抱かれてやる。」
まじめな口調に、どきん、とする。
「・・・あ、ああ。・・・・・覚えとく。じゃな。」
「ああ。鍵掛けてってくれ。」
「・・・・ああ。」
後ろ手に手を振って、俺は本庄の部屋を後にした。
外に出ると同時に冷たい夜風が俺の周りにまとわりつく。
エレベーターに向かって歩きながら、何となく本庄の暖かい手を思い出したりしていた。
好き・・なんだろうな、きっと。
本庄に好きなんだと言われたとき、俺はショックでうまく答えられなかった。
思ってもいなかったことをぶちまけて、本庄を傷つけてしまったんだ。
それまで、本庄は俺の親友で、プライベートでも仕事でもなくてはならない存在だったから。
それ以来、本庄とはぎくしゃくして・・・・・。
なんとなく気まずい時間が続いて・・・・・・。
本庄とこんなことで壊れるのはイヤだった。
だけど、もし恋人同士になったとして、どうなる?
絶対に元には戻れない。
毎日本庄とのことを考え続けて、上の空な時間が増えていた。
その時俺には婚約者がいたんだが、何をしていても上の空な俺を見て、てっきり俺が浮気をしていると思ったらしい。
あっさり婚約を破棄され、親からもさんざん愚痴られ、ついでに言うと、結構金も使って。
俺の中には本庄しかいなくなった。
そして・・・俺の気持ちを決定付けたのは、薫だった。
仕事中、俺は営業課から総務へ戻る途中だった。
総務と社長室は同じ階にある。
最上階の、通路。
薫がこちらに背を向けて、電話をしていた。
どうやら相手は、いとしの藤井さんらしい。
表情が、いつもの薫からは想像もできないほど、優しい顔をしていた。
それが、本庄の俺を見る顔と同じで・・・・・。
俺は薫の真剣さを知っていた。
薫は多分、藤井さんのためだったら、どんなことでもやってのけるだろう。
それほどの気持ちが、本庄の中にもあって、俺を向いているのだと。
俺は真剣に考えた。
俺は、本庄の気持ちがうれしくて・・・・・。
もっと近づきたくて・・・・・。
だけど、どこか小心者の俺は、本庄に面と向かってそれがいえなかった。
携帯のメールを送信して知らせた。
文章を打つのに、1時間も費やして。
本庄からの返事はなく、代わりに、あいつ・・・・。
俺の部屋まで来たんだった。
もう日付も変わっていて、明日も仕事だっていう日に。
ドアを開けるなり、キスされた。
驚く俺を強い力で抱きしめて、繰り返されるキス。
少しもイヤじゃないことに驚いて・・・・・・。
俺を待っていてくれた本庄に愛しさを感じた。
それから。
俺たちの付き合いは始まったんだった。
セックスのことになると、なんとなく気後れしてしまってる俺を、本庄はまた待っていてくれる。
それに甘えてるわけじゃないけど、許せよな。
雅春はこの頃、俺のことを気の毒に思っているらしい。
ほとんど毎日の俺の家でのプラトニックデート。
雅春は、俺が雅春のことをどんなに好きでいるか知ってるからこそなんだろうけれど。
一度俺の欲求を怖がられてから、柄にもなく臆病になっている俺のことはきっと知らないだろう。
手を出せずにいる俺のことなんか、思いもしないんだろう。
だから、簡単に口にする。
「お前、セックスしたくなったらどうしてんの?」
お互いの性生活に興味を抱くような年でもないから、きっと俺を牽制してるんだ。
俺のことが怖いくせに、俺の気持ちが気になってたまらないかわいい雅春。
「・・・・ばーか。お前はそんなこと知らなくてもいいんだよ。」
家のソファに座っている雅春の、綺麗にセットされた髪をぐしゃぐしゃした。
「な、何すんだよ。・・・・帰れねーじゃんか。」
「ははっ、そりゃいいや。・・・・泊まってけ。・・・・・ただしベッドは一つだけどな。」
雅春の首筋に軽くキスしたら、雅春はびくっと身体をすくませた。
「・・・やめろよ。」
俺を見た顔は真っ赤で、いつもとのギャップに笑えた。
「ははっ。・・・・お前こそ、そういう時はどうしてるんだよ。」
ノンケな雅春のことだから、女でもひっかけに行ってるんだろう。
ちょっと切ないけどな。俺、それでもいいんだ。
こうして俺の一番近くにいてさえくれれば、どんなことでも我慢してみせる。
「・・・・最近じゃ、そんなこと思いもしねえよ。」
頬を赤くしたままで、雅春がぽつんと言った。
「・・・・・雅春?・・・・なんだ、お前不能にでもなったか?」
雅春は、ため息をつきながら髪をかき上げると、こう言った。
「・・・・・俺、お前のこと真剣に考えてる。・・・・・・好きだって言ったろ。」
顔が赤くて、声が真剣で。
俺を見ようともしないけれど、雅春の気持ちは伝わってきた。
雅春にとって初めてのゲイ恋愛を、こんなに前向きに捕らえてくれている。
それが嬉しくないわけじゃないから。
むしろ、嬉しいから。
「俺は愛してるぞ。・・・・・サンキュー。雅春。」
「・・・・・でも、お前を待たせるのは不本意だからな。てめえで発散して来いよ。」
「・・・ばーか。」
雅春の卑怯な優しさ。身体はやれないけれど、気持ちはお前の物だと平気で言う。
だけど、そんなお前も愛しく感じる。ゆっくりでも構わないよ。
ほとんど毎日の俺の家でのプラトニックデート。
雅春は、俺が雅春のことをどんなに好きでいるか知ってるからこそなんだろうけれど。
一度俺の欲求を怖がられてから、柄にもなく臆病になっている俺のことはきっと知らないだろう。
手を出せずにいる俺のことなんか、思いもしないんだろう。
だから、簡単に口にする。
「お前、セックスしたくなったらどうしてんの?」
お互いの性生活に興味を抱くような年でもないから、きっと俺を牽制してるんだ。
俺のことが怖いくせに、俺の気持ちが気になってたまらないかわいい雅春。
「・・・・ばーか。お前はそんなこと知らなくてもいいんだよ。」
家のソファに座っている雅春の、綺麗にセットされた髪をぐしゃぐしゃした。
「な、何すんだよ。・・・・帰れねーじゃんか。」
「ははっ、そりゃいいや。・・・・泊まってけ。・・・・・ただしベッドは一つだけどな。」
雅春の首筋に軽くキスしたら、雅春はびくっと身体をすくませた。
「・・・やめろよ。」
俺を見た顔は真っ赤で、いつもとのギャップに笑えた。
「ははっ。・・・・お前こそ、そういう時はどうしてるんだよ。」
ノンケな雅春のことだから、女でもひっかけに行ってるんだろう。
ちょっと切ないけどな。俺、それでもいいんだ。
こうして俺の一番近くにいてさえくれれば、どんなことでも我慢してみせる。
「・・・・最近じゃ、そんなこと思いもしねえよ。」
頬を赤くしたままで、雅春がぽつんと言った。
「・・・・・雅春?・・・・なんだ、お前不能にでもなったか?」
雅春は、ため息をつきながら髪をかき上げると、こう言った。
「・・・・・俺、お前のこと真剣に考えてる。・・・・・・好きだって言ったろ。」
顔が赤くて、声が真剣で。
俺を見ようともしないけれど、雅春の気持ちは伝わってきた。
雅春にとって初めてのゲイ恋愛を、こんなに前向きに捕らえてくれている。
それが嬉しくないわけじゃないから。
むしろ、嬉しいから。
「俺は愛してるぞ。・・・・・サンキュー。雅春。」
「・・・・・でも、お前を待たせるのは不本意だからな。てめえで発散して来いよ。」
「・・・ばーか。」
雅春の卑怯な優しさ。身体はやれないけれど、気持ちはお前の物だと平気で言う。
だけど、そんなお前も愛しく感じる。ゆっくりでも構わないよ。
会社へ行けば隣同士なんだけど。
ずっとくすぶっていた気持ちがはっきりした瞬間から、姿が見えただけで、声が聞こえただけで、それだけで落ち着かない気持ちになる。
恋をしてると、はっきり断言するのは怖いけど、きっとそうなんだ。
俺のことを何年も思い続けていたらしい、本庄への気持ちは。
ただ、俺にとっては、ゲイ恋愛は初めてだから・・・・。
戸惑うことばかりだけど・・・・・・。
でも、この気持ちはきっとそうなんだ。恋なんだ。
「・・・・何か悩みでもあんの?」
会社が済んでから、本庄と飯を食っていくことになった。
繁華街まで出て、定食も出してくれる居酒屋で差し向かいで飯を食ってる。
ビールをぐい、と飲み干した俺に、本庄が言ったんだ。
「ん?何で?」
本庄は、ちょっと口ごもると俺をまっすぐ見て言った。
「最近なんかぼんやりしてるだろ?」
「・・・そ、そうか?」
何か俺の胸の中を読まれたようで、気づかれているはずはないとちょっと焦った俺を見て、本庄は笑った。
「・・・・・お前がなんともないならいいけど。今もほら。・・・・人参入ってる。」
食っていた飯を指されて、箸の先を見た。
「うおっ。気づかなかった!・・・・知ってたんなら言ってくれよな。」
「いつもお前のほうが目ざといだろ?・・・・だから、ぼんやりしてるんだって。」
とか言いながら、本庄は、人参をさっと取って、自分の料理に入れていく。
「・・・・・風邪なのか?・・・・それとも俺のせいか?」
じっと見つめられて、胸の中がどぎまぎする。
この前、本庄の欲求をダイレクトに伝えられて・・・・・。
俺、思いっきり動揺したから・・・・・。
「えー・・・と。・・・・あの。・・・・・・たいしたことじゃないし。」
そう言った俺を見て、本庄は苦笑した。
「無理には聞かないけど。・・・・あんまり心配させるなよ。」
「・・・心配?」
「そう。・・・・・俺はお前のことこの世で一番愛してるんだからな。」
俺の胸に募る、ピンクな気持ちの山。
本庄が俺に対して好きだとか、愛してるとか言ってくれるたびに、それは降り積もる。
本庄の声を聞くだけで、姿を見るだけで、俺を落ち着かなくさせる。
本庄が俺を緩やかに幸せにする・・・・・・。
今日は不破バージョンで・・・・。
ずっとくすぶっていた気持ちがはっきりした瞬間から、姿が見えただけで、声が聞こえただけで、それだけで落ち着かない気持ちになる。
恋をしてると、はっきり断言するのは怖いけど、きっとそうなんだ。
俺のことを何年も思い続けていたらしい、本庄への気持ちは。
ただ、俺にとっては、ゲイ恋愛は初めてだから・・・・。
戸惑うことばかりだけど・・・・・・。
でも、この気持ちはきっとそうなんだ。恋なんだ。
「・・・・何か悩みでもあんの?」
会社が済んでから、本庄と飯を食っていくことになった。
繁華街まで出て、定食も出してくれる居酒屋で差し向かいで飯を食ってる。
ビールをぐい、と飲み干した俺に、本庄が言ったんだ。
「ん?何で?」
本庄は、ちょっと口ごもると俺をまっすぐ見て言った。
「最近なんかぼんやりしてるだろ?」
「・・・そ、そうか?」
何か俺の胸の中を読まれたようで、気づかれているはずはないとちょっと焦った俺を見て、本庄は笑った。
「・・・・・お前がなんともないならいいけど。今もほら。・・・・人参入ってる。」
食っていた飯を指されて、箸の先を見た。
「うおっ。気づかなかった!・・・・知ってたんなら言ってくれよな。」
「いつもお前のほうが目ざといだろ?・・・・だから、ぼんやりしてるんだって。」
とか言いながら、本庄は、人参をさっと取って、自分の料理に入れていく。
「・・・・・風邪なのか?・・・・それとも俺のせいか?」
じっと見つめられて、胸の中がどぎまぎする。
この前、本庄の欲求をダイレクトに伝えられて・・・・・。
俺、思いっきり動揺したから・・・・・。
「えー・・・と。・・・・あの。・・・・・・たいしたことじゃないし。」
そう言った俺を見て、本庄は苦笑した。
「無理には聞かないけど。・・・・あんまり心配させるなよ。」
「・・・心配?」
「そう。・・・・・俺はお前のことこの世で一番愛してるんだからな。」
俺の胸に募る、ピンクな気持ちの山。
本庄が俺に対して好きだとか、愛してるとか言ってくれるたびに、それは降り積もる。
本庄の声を聞くだけで、姿を見るだけで、俺を落ち着かなくさせる。
本庄が俺を緩やかに幸せにする・・・・・・。
今日は不破バージョンで・・・・。
部屋をともす電気も、俺がいる周辺だけになり、薄暗い部屋で俺は残業中。
部下がへまをやらかして、このままじゃ薫に叱られると、そう悟った俺は、一人会社に残って後始末することにしたんだ。
どうせ、家に帰れば余計なことばかり考えてしまう。
頭の中のタダレタ欲求を、延々と妄想に乗せて、俺を無意味な自慰へと誘うから。
コーヒーを飲もうと、廊下の自販機から落ちてきた缶を取ったら、何かとどろくような音が聞こえてきた。
窓に降りていたブラインドを指でどかして、外を見ると。
「おっ。」
窓一杯にピンクや緑の花火が舞っていた。
そういえば、今日は花火大会だったか。
いつか行けるかな。アイツと一緒に。
長年の片思いに、ようやくピリオドを打って、晴れて俺と不破は恋人関係になった。
とはいえ、ゲイ恋愛は初めてな不破に付き合って、今時中学生でもやらないような清い関係のまま留まっている。
ちょくちょく家に来るようになった不破の、今まで知らなかった仕草や表情を目の当たりにするたび、俺はたまらない気持ちになるんだ。
抱きしめたくて。
今よりももっとキスがしたくて。
不破相手に、そういう欲情を俺が抱いてる、ってことを、不破は恐れてるんだ。
そういう気持ちを俺は、抱かせてしまっている。
でも・・・・・。
俺はもっと不破と近づきたいんだ。
俺がお前をこんなにも好きでいるってことを、お前にわかってほしい。
目の前を、綺麗な色の花火が舞っては散る。
いつか二人で見たい。
俺の気持ちが、全部不破に通じた時、俺を受け入れてくれたお前と一緒に。
ずっとずっと片思いしてたんだ。
今の関係を幸せだと思うよ。
なのに、人間は、俺は欲張りなんだ。
でも、俺は待つ。
不破のことを、大切に思うから。無くしたくないから。
誰もいない会社は、暗くて静かで、俺の孤独を強調させる。
今、ここにお前がいてくれたらいいのに。
いつもの軽口を、俺に言ってくれたらいいのに。
一人で見る花火は、こんなに寂しすぎる・・・・・・。
薫のお友達の本庄と不破のお話です。
部下がへまをやらかして、このままじゃ薫に叱られると、そう悟った俺は、一人会社に残って後始末することにしたんだ。
どうせ、家に帰れば余計なことばかり考えてしまう。
頭の中のタダレタ欲求を、延々と妄想に乗せて、俺を無意味な自慰へと誘うから。
コーヒーを飲もうと、廊下の自販機から落ちてきた缶を取ったら、何かとどろくような音が聞こえてきた。
窓に降りていたブラインドを指でどかして、外を見ると。
「おっ。」
窓一杯にピンクや緑の花火が舞っていた。
そういえば、今日は花火大会だったか。
いつか行けるかな。アイツと一緒に。
長年の片思いに、ようやくピリオドを打って、晴れて俺と不破は恋人関係になった。
とはいえ、ゲイ恋愛は初めてな不破に付き合って、今時中学生でもやらないような清い関係のまま留まっている。
ちょくちょく家に来るようになった不破の、今まで知らなかった仕草や表情を目の当たりにするたび、俺はたまらない気持ちになるんだ。
抱きしめたくて。
今よりももっとキスがしたくて。
不破相手に、そういう欲情を俺が抱いてる、ってことを、不破は恐れてるんだ。
そういう気持ちを俺は、抱かせてしまっている。
でも・・・・・。
俺はもっと不破と近づきたいんだ。
俺がお前をこんなにも好きでいるってことを、お前にわかってほしい。
目の前を、綺麗な色の花火が舞っては散る。
いつか二人で見たい。
俺の気持ちが、全部不破に通じた時、俺を受け入れてくれたお前と一緒に。
ずっとずっと片思いしてたんだ。
今の関係を幸せだと思うよ。
なのに、人間は、俺は欲張りなんだ。
でも、俺は待つ。
不破のことを、大切に思うから。無くしたくないから。
誰もいない会社は、暗くて静かで、俺の孤独を強調させる。
今、ここにお前がいてくれたらいいのに。
いつもの軽口を、俺に言ってくれたらいいのに。
一人で見る花火は、こんなに寂しすぎる・・・・・・。
薫のお友達の本庄と不破のお話です。
「ううっ、寒ぅい・・・・。」
芳を誘って、ディナーに出かけた帰り道。
店を出た瞬間に、俺たちを冷たい空気が包んだ。
今日は、この冬一番の寒さになると、朝のニュースで言っていたその通りのようだ。
「おいで。ほら・・・・。」
きゅっと身を小さくした芳人の手をぎゅっと握って、俺のコートのポケットへ入れてやった。
「・・・あはっ。・・・・カオちゃん、ありがとお。」
俺を見上げて、にっこり笑う芳人。
寒いせいで、鼻が赤くて、子供みたいにかわいい。
長いまつげに、空から降ってきた雪が乗った。
「あ、あは、冷たぁい・・・・。」
その雪を唇で取ってやって、かわいい芳人の頬にキスをして、家へと歩く。
「カオちゃんは暑いのと、寒いのだったらどっちが好き?」
芳のいる、俺の左側があったかい。
「そうだなあ。・・・・暑い方かな。」
「あはっ。僕と同じぃ。・・・でも、僕暑いのも苦手になってきちゃって。」
「今年は暑かったもんなあ。」
「・・・・でも、色々楽しかった。」
俺を覗き込んで、かわいく笑う芳人。
「そうだな。俺も。」
「んっ。」
白いコートがとてもよく似合ってる芳人の腰を抱いて、キスした。
誰もいない裏通り。静かで、まるで俺たちの道のようだ。
芳の冷たい頬をそっと辿って、ゆっくりと唇を離した。
芳が俺の手を頬に当てて、恥ずかしそうに目を伏せる。
「・・・・見て、カオちゃん。」
芳に促されて、後ろを振り返ったら、俺と芳の足跡だけが薄くつもる雪の上に残っていた。
「・・・・・何か嬉しい。」
「・・・・・そうだな。」
俺に微笑む芳人に、もう一度キスをして、抱きしめていた。
芳人のぬくもりが、俺を温める。
この静かな真っ白な道が、まるで俺たちのバージンロードのようで、俺は芳人を大切に思う気持ちを、改めてかみ締めた。
そんな俺たちの上に、白い雪が落ちてくる。
俺と芳人を一つにする・・・・・。
芳を誘って、ディナーに出かけた帰り道。
店を出た瞬間に、俺たちを冷たい空気が包んだ。
今日は、この冬一番の寒さになると、朝のニュースで言っていたその通りのようだ。
「おいで。ほら・・・・。」
きゅっと身を小さくした芳人の手をぎゅっと握って、俺のコートのポケットへ入れてやった。
「・・・あはっ。・・・・カオちゃん、ありがとお。」
俺を見上げて、にっこり笑う芳人。
寒いせいで、鼻が赤くて、子供みたいにかわいい。
長いまつげに、空から降ってきた雪が乗った。
「あ、あは、冷たぁい・・・・。」
その雪を唇で取ってやって、かわいい芳人の頬にキスをして、家へと歩く。
「カオちゃんは暑いのと、寒いのだったらどっちが好き?」
芳のいる、俺の左側があったかい。
「そうだなあ。・・・・暑い方かな。」
「あはっ。僕と同じぃ。・・・でも、僕暑いのも苦手になってきちゃって。」
「今年は暑かったもんなあ。」
「・・・・でも、色々楽しかった。」
俺を覗き込んで、かわいく笑う芳人。
「そうだな。俺も。」
「んっ。」
白いコートがとてもよく似合ってる芳人の腰を抱いて、キスした。
誰もいない裏通り。静かで、まるで俺たちの道のようだ。
芳の冷たい頬をそっと辿って、ゆっくりと唇を離した。
芳が俺の手を頬に当てて、恥ずかしそうに目を伏せる。
「・・・・見て、カオちゃん。」
芳に促されて、後ろを振り返ったら、俺と芳の足跡だけが薄くつもる雪の上に残っていた。
「・・・・・何か嬉しい。」
「・・・・・そうだな。」
俺に微笑む芳人に、もう一度キスをして、抱きしめていた。
芳人のぬくもりが、俺を温める。
この静かな真っ白な道が、まるで俺たちのバージンロードのようで、俺は芳人を大切に思う気持ちを、改めてかみ締めた。
そんな俺たちの上に、白い雪が落ちてくる。
俺と芳人を一つにする・・・・・。





