医師 募集 整体 技術 妄想限界 

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不破×本庄 友愛31

皆がアップアップしてる中、俺はいち早く卒論を書き終えて、薫との会社設立の事務的なことをやっていた。
もうすでに、薫は日本の不動産屋と密な連絡を取り合っていて、店舗とするビルの購入手続きを済ませていた。
それに関する不動産登記や、会社設立のための書類。
俺たち二人じゃ最初からは無理だから、雇うことにした事務職のプロの面接書類。
ほかにも、食材の仕入れルートやドリンク類の提携、やることは山のようにあった。
今まではそういう話は、すべて薫の頭の中にしかなかったことなんだけど、俺が薫との将来を受け入れたときから、何も隠さずすべて話してくれるようになった。
それで、俺と薫は業務を半分ずつにして少しずつやっていくことにしたんだ。
会社の名称はイトウコーポレイトジャパン、代表者は薫。
あくまでも俺は影から薫を支える立場に徹した。
事務的なことを全部請け負うような気持ちでいるから、卒論の合間にちゃっちゃと資格もとっておいた。
これから始まる事業がすごく楽しみで、しばらくはセックスすることも、雅春のことも家族のことも全部忘れていた。

雅春に、進路のことを伝えにくくて、卒業式も迫っているのに、切り出せていない。
雅春は雅春で卒業旅行に行っていたりしたんで、俺とは顔を合わせなかったんだ。
「教えてくれよな。」って言われてたけど、このまま何も言わずに去っていくのもいいかと思っていた。
会えば少なからず、気持ちが募る。
あと少しで完全に忘れなければならないのに、今更そんなことするのはつらすぎた。
引越しのために、部屋を片付けながら、やるべきことの合間に迷いに迷って、俺は。
このまま連絡を取らないことに決めた。
ちょっと卑怯かもしれないけどな。
俺の中では少しずつ、過去のことになり始めてたんだ・・・・・・。


これから新しくすむことになったアパートに荷物を運び入れているところへ、ドアをノックする音が聞こえた。
会社のビルのすぐ近くの2LDKのマンション。
日本の物件にしては広かったんで、すぐに決めた。
「はい。」
何かの勧誘かと思ってドアを開けたら、でかい花束を持った春日と、相変わらずおどおどしている家光がいた。
「・・・・んだよ。・・・・どこから聞いたんだ?」
「お父様よ。・・・・政治家の情報網は便利ね。」
そういうと、春日は家光を従えて、部屋の中へ入ってきた。
「まあ。なかなかいいですわね。お兄様らしくて。」
「家康、これ、お昼ご飯だよ。母上に持たされて。」
家光が持ってきたのは、どうみても1人前な量じゃなく。
つまり、兄弟皆の分かと思った。
「食おうぜ。ちょうど腹へってたんだ。」
持ってきた花瓶に花を挿していた春日は、くすって笑った。
「お母様の予想通りですわね。・・・・春日がお茶を入れますわ。」
「茶なんかねえって。」
かろうじて出してあった、テーブルに包みを広げて、ペットボトルのお茶を注いで、俺たちには珍しい組み合わせで食事が始まった。
「ところでさ。・・・・家光、下着は新調したのかよ。」
おにぎりに食いついて、家光を見た。
「・・・・え?まだだよ。・・・・新品だってまだたくさんあるし、もったいないだろう?」
「それはそうだけど。・・・それなら今夜がチャンスならどうすんだよ。」
あんなダサいトランクスでもいいのかよ。
「ふふっ。・・・・家光お兄様はそんなこと気にしませんわよ。それよりきっと、目の前の女性に触れることもできませんわよ。」
「・・・ぶっ!それはいえる。」
「そ、そんなことないよ!・・・・・・別に初めてというわけじゃないんだし・・・・・。」
ちょっとテレながら言う家光に、俺は春日と顔を見合わせた。
初めてじゃない?
それは驚きだ。
春日も同じ思いだったらしくて、しばらく黙ってた。
いつも食えない春日を黙らせるなんて、よっぽどだと思う。

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不破×本庄 友愛30

その夜、薫を家に呼び出した。
12時近くなってやってきた薫は、俺を見ると嬉しそうに笑って、雅春と同じように俺を抱きしめた。
薫の体は見かけよりももっとがっしりしていて、すごく暖かくて。
部屋に招きいれて、ビールを出した。
「実家はどうだった?楽しかったか?」
ソファに腰を下ろした薫は、うまそうにビールを呑んで言った。
「まあな。・・・・色々あったけど、俺としてはうまくいったと思ってる。・・・それで。」
机の引き出しを開けて、中を探って、日本から持って帰ってきた貯金通帳を薫の前に差し出した。
「・・・なんだ?」
「預金通帳だよ。」
「・・・え?」
薫は、中を見ようとしてたんだけど、急いでやめると、俺をまっすぐ見た。
「・・・・・・会社のために金が要るだろ?・・・あんまり多くはねえけど、資金にしてくれ。」
どうせ家で眠ってるだけの金だ。
俺には必要のないものだが、俺のものだし、好きに使っていいだろう。
薫は、しばらく通帳の表紙を見ながら躊躇していた。
「・・・・本庄。・・・・お前にこんなことしてもらうわけにはいかねえよ。・・・・誘ったのは俺だし、会社を作りたいと言ったのも俺だ。・・・俺に付き合って、財産まで投げ出すことはない。」
ためらいながら言う薫は、見たことがないくらい戸惑っていた。
その顔を見ながら、俺はだんだんおかしくなって、ついには噴出してしまった。
「財産て!あははは!そんなの財産のうちにはいんねえよ!」
薫に差し出した金は、俺が子供のときからもらった小遣いやなんかを入れといただけのもの。
薫は俺を見てたんだけど、そっと通帳をめくった。
「ばっ!馬鹿か!お前!なんだよ!この金!」
薫は大声でそういうと、がたん、と立ち上がった。
「何がだって。・・・・すくねえのはわかってるよ。それしかなくて悪いな。」
まだちょっとおかしくて、笑いながらビールをあおった。
俺が薫にできることなんか、ほとんどないし。
金を出すくらい、と思ったけど。
「何〜?お前の金銭感覚についていけねえよ。」
今度はあきれたみたいに言って、またソファに座った。
はあ、とため息をつく薫の手から、通帳をさらって改めて中を見た。
金銭感覚がおかしい?
そんなになかったか?
ページをめくって、たどり着いた最終ページ。
3000万くらいは残ってた。
「これじゃ足りねえか。お前はどれくらいあんの?」
「・・・いや。・・・・・もういい。」
薫は俺を見て、ぶっ、と噴出すと、笑いながら言った。
「お前って、正真正銘のどら息子なんだな。」
「はあ?」
「というか、お前の実家の規模を俺が勘違いしてたらしいな。」
くっくっ、って笑いながら薫は言って、ぐいとビールを飲んだ。
「・・・それはお前が持ってろ。・・・・・・資金にはさせてもらうが、俺はもらえない。お前が使い道を決めて、お前が管理しろ。」
そう言って、俺をまっすぐ見て。
「・・・・・わかった。」
うなずいたら、薫はにっこり笑った。
それから、会社のことを俺にいろいろ話し始めた。
具体的に話を聞くのはこれが始めてだったから、さまざまな青写真を引くことに俺と薫は夢中になった。
ああでもない、こうでもない、と言っているうちに、いつしか外が明るくなって・・・・・。
「おっ、やばい。」
「げっ!」
薫と顔を見合わせてげらげら笑った。
夢を形にする作業が、こんなに楽しいなんて。
今までの俺は気づかなかったよ。

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不破×本庄 友愛29

「ヤス〜。ヤス!・・・ヤスだ!おかえりっ!」
新学期が始まって学校へ行くと、雅春が校門のところに立っていて、俺を見つけると嬉しそうな声をあげた。
「雅春。・・・・久しぶりじゃん。」
朝の光が、雅春の髪に反射して金髪に輝いている。
嬉しそうな表情に、俺も嬉しくなって・・・・・・・・。
でも、もう少ししたら雅春とは別れなくちゃならなくて、だから、これ以上好きになるのはよそうと堅く誓った。
「待ってたんだ。ほんと、おかえりっ。」
雅春は、満面の笑みで俺に近づくと、いつかしたように俺をぎゅうっと抱きしめた。
「おいおい。・・・・・何してんだよ。」
「・・・・・・ヤスが近くにいることを確かめてる。」
「馬鹿。」
抱きつく雅春から、髪の香りがして、どきんとした。
抱きしめたい気持ちをこらえて、そっと雅春を引き離す。
「授業に遅れるぜ?・・・・いいのか遅刻でも。」
「あ、俺ね、今卒論書いてんの。・・・・ヤスもだろ?」
「ああ、まあな。・・・・・卒業認定してもらえるように張り切れよ。」
「うっせー!」
雅春とこぶしを合わせて、それぞれの校舎へと向かった。
雅春が俺を待っていてくれたことに浮かれてたんだけど・・・・・・。
いつ雅春に進路のことを打ち明けようかと思ったら、一気にどうしていいかわからなくなった。

研究室で論文を書いていたら、教授に呼ばれた。
教授室へ行くと、パソコンデスクに座って何かをしていた教授と、本や書類だらけの雑然とした光景が目に飛び込んだ。
教授は俺に気づくと、鋭い目を軟化させて、手招きした。
「実は、君の論文が素晴らしくて。雑誌に掲載されることになったんだ。」
はい、と手渡されたA4の薄い専門雑誌。
付箋のついたところを見たら、それは休み前に書いた俺の論文だった。
「この卒論のできも、素晴らしいよ。・・・ドクターコースに進みたまえ。君なら助教授、やがては教授も夢じゃない。」
思いもしなかった話に、戸惑って、びっくりした。
「・・・それともどこかに内定をもらってるのか?」
何も言えずにいたら教授が俺を鋭く見た。
そんな内定など、蹴ってしまえと言いたげな顔で。
「あ、・・・いえ。そうではありません。」
「そうか!なら君を推薦する。いいね?」
「待ってください。」
俺は、雑誌を閉じて、教授に差し戻した。
教授の手がそれを受け取るのを待って切り出した。
「・・・卒業後は帰国します。・・・・・そこで友人と会社を設立します。」
教授は、明らかに落胆した様子で、俺を見ていた。
「・・・・・それが俺のやりたいことです。せっかくのお話、こんなことになって申し訳ございません。」
それだけ言って、教授に頭を下げ部屋を出た。
よく考えたら、大学に残るのも悪くない進路だ。
研究職は俺には結構合ってるし、勉強するのが特別嫌だとも感じないし。
それでも、俺は、薫のそばで自分自身を試したいんだ。
一からのスタート。
そういうポジションが、気に入っている。

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不破×本庄 友愛28

春日の車は街中のビルの前で止まった。
「・・・何ここ。・・・・・どこ?」
春日を見たら、不敵に笑って、降りますわ、と言った。
仕方なく俺と家光も車を降りる。
今日は結構暖かい日で、日がさしていた。
「なんだろうね?・・・春日が僕を誘うなんてことないんだよ?」
「・・・・なんか目的があんだろ。」
ヒールを鳴らしながら、ビルへ入っていった春日のあとをついて俺たちも中に入った。
狭い階段を上ったところには、小さいドアがあって、上半分ガラス部分に、洒落た文字で
『本庄法律事務所』
と書いてあった。
まさか・・・・・・。
なんだか嫌な予感。
俺の服をひっぱった家光と顔を合わせて、無遠慮にドアを開けた春日のあとに続こうとして、春日の背中にぶつかった。
「・・何・・・・。」
してんだよ。
と言おうとして、「しっ!」と春日に口を覆われた。
そして、春日の視線の先を見たら・・・・・・。
応接セットと大きな机が二つ並んだ広いスペース。
机の上に大足を開いて座っている寧々の、その足の間にスーツ姿の大男の体がねじこまれて、リズミカルに動いていた。
「・・・・うっ!」
男女のセックスが苦手な俺は、その場で回れ右して、深呼吸した。
女は確かに寧々で・・・・・・。
・・・つーか、仕事場でセックスなんかするなってえの。
気分が悪くなりそうだったから、階段の踊り場の小窓から外を見ていたら、春日と家光が忍び足でやってきた。
「お兄様、出直しましょう。家光お兄様が。」

家光を見たら、真っ赤になって、今にも卒倒しそうなくらいふらふらしていた。
「何だ?どうした?」
家光に肩を貸しながら春日に聞いたら、春日は笑った。
「興奮なさったみたい。」
さいですか。


そんなこんなで結局寧々と顔を合わせることもなく、俺はアメリカへ戻ってきた。
家光は彼女とのことをがんばると言い、俺は笑った。
それなりに楽しく実家で過ごせたことが意外だったけど・・・・・。
薫の言うとおり、俺は家族に頼りにされている存在なのだとわかった。
お袋のこともあるし、帰国してうまくやっていけるかどうかはまだわからない。
でも、俺も大人として振舞えば、きっとうまくいくような気がした。

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すこ

Author:すこ
はじめまして。すこです。
すこは酢こんぶの略です。

趣味で書き溜めたオリジナル小説を、思い切って公表しちゃってます。

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