長編
薫×芳人 (完結)
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
61 62 63 64 65 66 67 68
続編01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55
進太郎×穂月 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25(完結)
褌葵×稜 1
中編 夏1 2 3 4 5 6 7(完結)
ホテル1 2 3 4 5 6(完結)
夜1 2 3 4 5 6 7(完結)
夜後1 2 3 4 5(完結)
出会い 1 2 3
短編
褌葵×稜
由×勝
秀晃×勇太
薫×芳人 番外1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
不破×本庄 小話1 2 3 4
本編 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46(完結)
薫×芳人 (完結)
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
61 62 63 64 65 66 67 68
続編01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55
進太郎×穂月 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25(完結)
褌葵×稜 1
中編 夏1 2 3 4 5 6 7(完結)
ホテル1 2 3 4 5 6(完結)
夜1 2 3 4 5 6 7(完結)
夜後1 2 3 4 5(完結)
出会い 1 2 3
短編
褌葵×稜
由×勝
秀晃×勇太
薫×芳人 番外1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
不破×本庄 小話1 2 3 4
本編 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46(完結)
最近、僕、春田綾は悩んでる。
僕は、高校の先生だ。この春で2年目の、会社で言えばまだ新人の部類に入るけれど。
数学を受け持って、ずっとあこがれてた教師という仕事に夢中になっていた僕に、生徒たちもなついてくれている。と信じたい。
僕の勤務している高校は、県下無類の進学校で生徒の99%は大学進学を目標としている。
その中で、必須5教科にはいる数学の先生となって責任も重大だ。
まだ担任こそ持っていないけれど、立派に副担任として頑張ってるつもりだ。
生徒の指導もそれなりにこなしているつもり。
だけど、あの生徒だけはどうしていいものか、本当に分からない。
「先生。」
ほら。まただ。
放課後の補習授業が終わって、職員室へ帰る途中で僕を呼ぶ声に立ち止まった。
こんな時は教師として、無視を決め込むわけにもいかない。
内心を押し隠して、作り笑顔で振り向いた。
「どうした?」
やっぱり。
あの生徒だろうと予想した通りの男子生徒がそこに立っていた。
「先生。」
「何だ?」
僕の前に歩み寄って、僕を見下ろした。
最近の高校生は発育がよくて本当に困るよな。
僕だって標準体型だと思うんだけど、この生徒はまるでモデルかスポーツ選手かってくらい背が高いし、それに腕っぷしもよさそうだ。
「わかんないところがあるんですけど。」
「・・・・どこ?」
そう言われちゃ放っておくわけにはいかない。なんてったって、僕は数学の先生なんだから。
僕は、持ってた教科書の、今日授業したところを繰った。
必死で教科書を繰ってたその教科書を彼はその手で遮った。
「・・・・・あとで先生のとこ行っていいですか。」
「ああ、そうしてくれるかな。・・・今日は会議があって。」
「はい。」
「じゃ。」
言って、笑う彼に背を向けて、僕は再び職員室へ向かった。
こんな風に僕をいつも呼び止める彼。
桐生褌葵。
こんにちわ!いつも当ブログを訪問してくださって、ありがとうございます!
今回からは、かなり前に書いた褌葵と稜ちゃんものにすることにしました。
昔に書いたきりだったので、ちょっと恥ずかしいかもです。
では、これからもよろしくお願いします!
すこ
僕は、高校の先生だ。この春で2年目の、会社で言えばまだ新人の部類に入るけれど。
数学を受け持って、ずっとあこがれてた教師という仕事に夢中になっていた僕に、生徒たちもなついてくれている。と信じたい。
僕の勤務している高校は、県下無類の進学校で生徒の99%は大学進学を目標としている。
その中で、必須5教科にはいる数学の先生となって責任も重大だ。
まだ担任こそ持っていないけれど、立派に副担任として頑張ってるつもりだ。
生徒の指導もそれなりにこなしているつもり。
だけど、あの生徒だけはどうしていいものか、本当に分からない。
「先生。」
ほら。まただ。
放課後の補習授業が終わって、職員室へ帰る途中で僕を呼ぶ声に立ち止まった。
こんな時は教師として、無視を決め込むわけにもいかない。
内心を押し隠して、作り笑顔で振り向いた。
「どうした?」
やっぱり。
あの生徒だろうと予想した通りの男子生徒がそこに立っていた。
「先生。」
「何だ?」
僕の前に歩み寄って、僕を見下ろした。
最近の高校生は発育がよくて本当に困るよな。
僕だって標準体型だと思うんだけど、この生徒はまるでモデルかスポーツ選手かってくらい背が高いし、それに腕っぷしもよさそうだ。
「わかんないところがあるんですけど。」
「・・・・どこ?」
そう言われちゃ放っておくわけにはいかない。なんてったって、僕は数学の先生なんだから。
僕は、持ってた教科書の、今日授業したところを繰った。
必死で教科書を繰ってたその教科書を彼はその手で遮った。
「・・・・・あとで先生のとこ行っていいですか。」
「ああ、そうしてくれるかな。・・・今日は会議があって。」
「はい。」
「じゃ。」
言って、笑う彼に背を向けて、僕は再び職員室へ向かった。
こんな風に僕をいつも呼び止める彼。
桐生褌葵。
こんにちわ!いつも当ブログを訪問してくださって、ありがとうございます!
今回からは、かなり前に書いた褌葵と稜ちゃんものにすることにしました。
昔に書いたきりだったので、ちょっと恥ずかしいかもです。
では、これからもよろしくお願いします!
すこ
そんな俺をじっと見ていたらしい、俺の思い人は、くすって噴出すと、そのままくすくすって笑った。
その笑顔は、胸に描いていた通りの、愛らしさで、一気に俺を魅了した。
思わず抱きしめたいほどの衝撃に狩られる。
「・・・・・いいですよ。・・・・・携帯しかないんだけど。いいですか?」
まだくすくす笑いながら、俺を見る。
あー、絶対怪しいやつと思われてるな・・・俺。
「・・・・あ、はい。・・・お願いします。あ、えと、失礼ですけど、お名前は・・・?」
携帯電話を俺の手から取って、操作しているのを見ながらたずねた。
この人の、一挙一動を、見逃したくない。
「え?あ。・・・・僕、藤井芳人です。・・・・・・でも、どうして、僕・・・・?」
藤井芳人・・・・・。
はい、って携帯を俺に見せてくれながら、また少し訝しげに俺を見る。
まさか、密かに片思いしてました、なんて言えなくて、ちょっと口ごもったら、思い人は言った。
「・・・・怪しいお仕事の人?」
「あ、違いますよ!それは絶対にないです!・・・・あの、そう!友達!友達になってほしくて!」
自分が興奮と動揺で一杯で、ふと我に返ったら、俺の声がホーム中に響いていた。
すでに電車は駅を離れていて、乗り降りのための客ももうすでにいなくて。
ホームには俺と思い人の2人きりで・・・・・・。
「うふっ。・・・・・お友達?・・・・・・あはっ。・・・・・うふふっ。」
恥ずかしい・・・・・。
俺、今、超ダサい・・・・・・。
思い人は、ひたすら笑うと、目にたまった涙をぬぐって俺を見た。
「・・・・・面白いね。・・・・こんな僕でよかったら、うん。・・・・・よろしくお願いしまう。」
って、ペコって頭を下げて・・・・・。
その瞬間、ふわりと、いいにおいがした。
「あ、こちらこそ・・・・・・。すいません、何か色々と、変なヤツで。」
「・・・・ううん。・・・・・イキナリで少しびっくりしちゃった。」
「・・・・・・すみません。」
渡された携帯電話から、自分の携帯にナンバーを登録して、改札まで並んで歩いた。
夢のようなシチュエーション。
まさか、こんなふうに再会できるなんて。
「あ、でも、僕、勤務がばらばらだから、電話もらっても出れないかもしれない。・・・ごめんね?」
申し訳なさそうに言うから、どきってする。
表情がとても豊かなんだ。
「あ、いえ。・・・お仕事って何されてるんですか?」
「・・・・・あ、僕、病院で・・・・。」
「医者?」
「・・・・一応だけど・・・・・。」
ゆっくりと、もどかしく話す様子も、この人には似合っていて、とても愛らしい。
隣を歩く姿を見ているだけで、やっぱり俺はこの人のことが好きなんだって、改めて思った。
「・・・・すごい。・・・・・・あ、引き止めてすみません。」
「ううん。平気。・・・・・カオちゃんは?大丈夫?」
「・・・カオちゃん?」
イキナリそう言われて、どきって。
「あ、ダメ・・・・だよね、ごめんなさい。」
少し、しゅん、ってなった感じに、慌てて答えた。
「あ、いえ、平気ですから。はい。」
「・・・ふふっ。僕のことも、芳人って呼んでね?・・・じゃ、これで。また。」
改札を通って、俺とは反対方向へ出て行く思い人の背中を、俺はずっと見ていた。
どきどきが止まらない。
嘘みたいな奇跡に、その場でガッツポーズした。
そんな俺を見た駅員が、びくってした。
その笑顔は、胸に描いていた通りの、愛らしさで、一気に俺を魅了した。
思わず抱きしめたいほどの衝撃に狩られる。
「・・・・・いいですよ。・・・・・携帯しかないんだけど。いいですか?」
まだくすくす笑いながら、俺を見る。
あー、絶対怪しいやつと思われてるな・・・俺。
「・・・・あ、はい。・・・お願いします。あ、えと、失礼ですけど、お名前は・・・?」
携帯電話を俺の手から取って、操作しているのを見ながらたずねた。
この人の、一挙一動を、見逃したくない。
「え?あ。・・・・僕、藤井芳人です。・・・・・・でも、どうして、僕・・・・?」
藤井芳人・・・・・。
はい、って携帯を俺に見せてくれながら、また少し訝しげに俺を見る。
まさか、密かに片思いしてました、なんて言えなくて、ちょっと口ごもったら、思い人は言った。
「・・・・怪しいお仕事の人?」
「あ、違いますよ!それは絶対にないです!・・・・あの、そう!友達!友達になってほしくて!」
自分が興奮と動揺で一杯で、ふと我に返ったら、俺の声がホーム中に響いていた。
すでに電車は駅を離れていて、乗り降りのための客ももうすでにいなくて。
ホームには俺と思い人の2人きりで・・・・・・。
「うふっ。・・・・・お友達?・・・・・・あはっ。・・・・・うふふっ。」
恥ずかしい・・・・・。
俺、今、超ダサい・・・・・・。
思い人は、ひたすら笑うと、目にたまった涙をぬぐって俺を見た。
「・・・・・面白いね。・・・・こんな僕でよかったら、うん。・・・・・よろしくお願いしまう。」
って、ペコって頭を下げて・・・・・。
その瞬間、ふわりと、いいにおいがした。
「あ、こちらこそ・・・・・・。すいません、何か色々と、変なヤツで。」
「・・・・ううん。・・・・・イキナリで少しびっくりしちゃった。」
「・・・・・・すみません。」
渡された携帯電話から、自分の携帯にナンバーを登録して、改札まで並んで歩いた。
夢のようなシチュエーション。
まさか、こんなふうに再会できるなんて。
「あ、でも、僕、勤務がばらばらだから、電話もらっても出れないかもしれない。・・・ごめんね?」
申し訳なさそうに言うから、どきってする。
表情がとても豊かなんだ。
「あ、いえ。・・・お仕事って何されてるんですか?」
「・・・・・あ、僕、病院で・・・・。」
「医者?」
「・・・・一応だけど・・・・・。」
ゆっくりと、もどかしく話す様子も、この人には似合っていて、とても愛らしい。
隣を歩く姿を見ているだけで、やっぱり俺はこの人のことが好きなんだって、改めて思った。
「・・・・すごい。・・・・・・あ、引き止めてすみません。」
「ううん。平気。・・・・・カオちゃんは?大丈夫?」
「・・・カオちゃん?」
イキナリそう言われて、どきって。
「あ、ダメ・・・・だよね、ごめんなさい。」
少し、しゅん、ってなった感じに、慌てて答えた。
「あ、いえ、平気ですから。はい。」
「・・・ふふっ。僕のことも、芳人って呼んでね?・・・じゃ、これで。また。」
改札を通って、俺とは反対方向へ出て行く思い人の背中を、俺はずっと見ていた。
どきどきが止まらない。
嘘みたいな奇跡に、その場でガッツポーズした。
そんな俺を見た駅員が、びくってした。
嘘みたいな話だが。
「落ちましたよ。」
偶然乗った電車を降りた時、前を歩いていた人が、何か落とした。
拾い上げてみたら、なんと携帯電話。
慌てて、落とし主の肩を掴んだ。
薄い肩がこっちを振り向く。
ぐいと引き寄せて・・・・・。
あ・・・・・・!
ずっと胸から消えないままの、その顔が俺を見つめた。
茶色の優しげな瞳に、俺が映る。
「あ・・えっと。・・・・・・・?」
そういうと、顔を伏せて、そっと俺から離れた。
髪も茶色でさらさらと柔らかそうで。
うつむいたうなじが、とても白くて、どきん、とした。
胸がどきどきと高鳴る。
目の前に、俺の胸に焼きついている人がいる・・・・・・。
「・・・あの・・・・・・?」
ちらりとその人が俺を見る。
目に少し恐怖感が浮かんでいて、はっとした。
「あ、あの、コレ、コレ、落としましたよ?」
手に握り締めていた携帯電話。
差し出したら、その表情が、ぱあっと明るくなった。
「え?これ、僕のですか?・・・・ありがとう。」
にっこり微笑んだ笑顔。
頬が少し赤くて、俺から見えるまつげが長くて・・・・・・。
みとれて・・・・・・。
「あ、いえ・・・・・。」
初めて見る、思い人のいろんな表情に、俺の胸がせわしなく高鳴る。
この奇跡的な再開を、絶対に無駄にしたくない。
白い手が、俺の手から携帯電話を取ろうとする。
俺は、思わず、携帯電話を握り締めた。
「え?・・・・あの・・・・?」
訝しげな表情。
気持ちを隠さない表情に、見とれる。
かわいくて、胸が高鳴って、平静を保てない。
「・・・・・連絡先、教えてもらってもいいっすか?」
思わず言ってしまってから、その人の顔にはてなマークが浮かんでいて、はっとした。
これじゃ、俺、怪しいよ。
ナンパみたいじゃん。
「あ、あの、あの、俺は、こういうもんです。」
ブレザーの内ポケットから、名前と電話番号だけが書いてある名刺を取り出して渡した。
白い細い指が、名刺を受け取る。
「・・・・伊藤薫さん?」
「あ、はい。あの、コレって、何かのご縁があると思うんですよ。あの、俺、怪しいもんじゃなくて・・・・・。ええと。・・・・・あの・・・。」
何て言っていいかわからなくて、頭の中が真っ白になってくる。
すごく動揺して、鼻の頭に汗が浮かぶ。
「落ちましたよ。」
偶然乗った電車を降りた時、前を歩いていた人が、何か落とした。
拾い上げてみたら、なんと携帯電話。
慌てて、落とし主の肩を掴んだ。
薄い肩がこっちを振り向く。
ぐいと引き寄せて・・・・・。
あ・・・・・・!
ずっと胸から消えないままの、その顔が俺を見つめた。
茶色の優しげな瞳に、俺が映る。
「あ・・えっと。・・・・・・・?」
そういうと、顔を伏せて、そっと俺から離れた。
髪も茶色でさらさらと柔らかそうで。
うつむいたうなじが、とても白くて、どきん、とした。
胸がどきどきと高鳴る。
目の前に、俺の胸に焼きついている人がいる・・・・・・。
「・・・あの・・・・・・?」
ちらりとその人が俺を見る。
目に少し恐怖感が浮かんでいて、はっとした。
「あ、あの、コレ、コレ、落としましたよ?」
手に握り締めていた携帯電話。
差し出したら、その表情が、ぱあっと明るくなった。
「え?これ、僕のですか?・・・・ありがとう。」
にっこり微笑んだ笑顔。
頬が少し赤くて、俺から見えるまつげが長くて・・・・・・。
みとれて・・・・・・。
「あ、いえ・・・・・。」
初めて見る、思い人のいろんな表情に、俺の胸がせわしなく高鳴る。
この奇跡的な再開を、絶対に無駄にしたくない。
白い手が、俺の手から携帯電話を取ろうとする。
俺は、思わず、携帯電話を握り締めた。
「え?・・・・あの・・・・?」
訝しげな表情。
気持ちを隠さない表情に、見とれる。
かわいくて、胸が高鳴って、平静を保てない。
「・・・・・連絡先、教えてもらってもいいっすか?」
思わず言ってしまってから、その人の顔にはてなマークが浮かんでいて、はっとした。
これじゃ、俺、怪しいよ。
ナンパみたいじゃん。
「あ、あの、あの、俺は、こういうもんです。」
ブレザーの内ポケットから、名前と電話番号だけが書いてある名刺を取り出して渡した。
白い細い指が、名刺を受け取る。
「・・・・伊藤薫さん?」
「あ、はい。あの、コレって、何かのご縁があると思うんですよ。あの、俺、怪しいもんじゃなくて・・・・・。ええと。・・・・・あの・・・。」
何て言っていいかわからなくて、頭の中が真っ白になってくる。
すごく動揺して、鼻の頭に汗が浮かぶ。
「ちょっと待ってよ!もう?」
「・・・・それが目的なんだろ?・・・・抵抗するなよ。」
少しでも似てれば・・・・・。
少しでも面影があれば・・・・・・。
バーで声を掛けてきた男を、トイレの壁に押し付けて、身体の中をうねる欲求を容赦なくぶつけた。
少しでも似てれば・・・・・。
少しでも・・・・・。
身体がすっきりしても、胸に詰まったコレは、消えそうになかった。
どこにいても俺は、面影を探す。
一度しか会ったことのないあの人を、忘れられない。
色白の、優しそうな表情。
小柄な身体。
微笑むためにあるような、茶色の瞳。
恋に落ちた自分を自覚したのは、初めてだった。
「片思いー?おまえが!?」
会社帰りに立ち寄ったバーで、本庄が驚いて俺を見た。
「・・・そうだよ。・・・・・そんなに意外かよ。」
黒いテーブルに、ライトが反射して美しい。
スツールに腰掛けると、丁度よい高さのテーブルに、肘をついて酒を飲み干した。
「あ、いや・・・・・。」
本庄はもごもごと言うと、ため息をついた。
「で、どこの誰?」
「・・・・知らね。」
カウンターの向こうには、年老いたマスターが丁寧に酒を作っている。
小さい飲み屋だけど、マスターの作る酒が美味くて、俺のお気に入りなんだ。
「・・・・・はあ?・・・なんだソレ?」
本庄はグラスを手に持つと、俺を見た。
「一度しか会ってないし。・・・・・どこに住んでるかさえ知らない。」
さっと差し出された、新しい酒。
作りたてを一口飲んで、やっぱり俺の味覚は正しいと実感した。
思わず漏れたため息。
ふと、俺の隣に座ったやつが、俺のことを誘ってるのがわかった。
俺を見る視線。
少しでも似てれば・・・・・。
少しでも面影があれば・・・・・。
「で、お前はどうすんの?」
本庄が俺を、現実に引き戻した。
あの人のことで一杯になっていた頭が、少し冷静になる。
「・・・・・どうするかな。・・・・けど俺はあきらめの悪い男なんだ。」
もう一度会いたい。
会えたなら、すぐに話しかける。
まずは俺のことを認識してほしい。
「ははっ。」
笑った本庄が酒を飲んだ隙に、隣のヤツに目で断った。
よく見なくったって、どこも似ていない。
面影なんかない。
俺の中のあの人は、ただ一人しかいない・・・・・。
「・・・・それが目的なんだろ?・・・・抵抗するなよ。」
少しでも似てれば・・・・・。
少しでも面影があれば・・・・・・。
バーで声を掛けてきた男を、トイレの壁に押し付けて、身体の中をうねる欲求を容赦なくぶつけた。
少しでも似てれば・・・・・。
少しでも・・・・・。
身体がすっきりしても、胸に詰まったコレは、消えそうになかった。
どこにいても俺は、面影を探す。
一度しか会ったことのないあの人を、忘れられない。
色白の、優しそうな表情。
小柄な身体。
微笑むためにあるような、茶色の瞳。
恋に落ちた自分を自覚したのは、初めてだった。
「片思いー?おまえが!?」
会社帰りに立ち寄ったバーで、本庄が驚いて俺を見た。
「・・・そうだよ。・・・・・そんなに意外かよ。」
黒いテーブルに、ライトが反射して美しい。
スツールに腰掛けると、丁度よい高さのテーブルに、肘をついて酒を飲み干した。
「あ、いや・・・・・。」
本庄はもごもごと言うと、ため息をついた。
「で、どこの誰?」
「・・・・知らね。」
カウンターの向こうには、年老いたマスターが丁寧に酒を作っている。
小さい飲み屋だけど、マスターの作る酒が美味くて、俺のお気に入りなんだ。
「・・・・・はあ?・・・なんだソレ?」
本庄はグラスを手に持つと、俺を見た。
「一度しか会ってないし。・・・・・どこに住んでるかさえ知らない。」
さっと差し出された、新しい酒。
作りたてを一口飲んで、やっぱり俺の味覚は正しいと実感した。
思わず漏れたため息。
ふと、俺の隣に座ったやつが、俺のことを誘ってるのがわかった。
俺を見る視線。
少しでも似てれば・・・・・。
少しでも面影があれば・・・・・。
「で、お前はどうすんの?」
本庄が俺を、現実に引き戻した。
あの人のことで一杯になっていた頭が、少し冷静になる。
「・・・・・どうするかな。・・・・けど俺はあきらめの悪い男なんだ。」
もう一度会いたい。
会えたなら、すぐに話しかける。
まずは俺のことを認識してほしい。
「ははっ。」
笑った本庄が酒を飲んだ隙に、隣のヤツに目で断った。
よく見なくったって、どこも似ていない。
面影なんかない。
俺の中のあの人は、ただ一人しかいない・・・・・。






